2012年07月01日

otomoができるまで 最終回

途中あまりにも寄り道が多すぎて、なかなか最終回に辿り着かなかったこの連載。
1回目が昨年の7月(!)だったので、足掛け約1年という長大な企画になってしまいましたが、本日めでたくファイナル!

最終調整を終えたotomoたち。
いよいよ旅立ちの時を迎えました。
otomokansei.jpg
これまでに沢山の方々と工房を結んでくれたotomo。
その音が今日も世界のどこかで鳴っていると思うと、なんとも言えず心がじんわりとします。

現在は世界中で沢山のカリンバが作られています。材料や製作工程に違いはあっても音の出る仕組みは同じ。その中のひとつであるotomoがカリンバという楽器を知っていただくきっかけになれば幸いです。
 
最後に工房主から一言
いす「otomoのキーは9本で音の数は少なめではありますが、しずくちゃんが紹介してくれた通り、工房のエッセンスが詰まった手づくり楽器です。
カリンバ入門として、またこの音数の中で想像力を膨らませて遊んでみて欲しいと思います。
時には曲を奏で、また時には鳥や身近な音を真似て。
大切な方との小さな音楽会をお楽しみ下さい。
またメンテナンスもいつでもご用命下さい。長くご愛用頂ければ幸いです。」

以上9回にわたりotomoが出来るまでをご紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか?
「カリンバ」に留まらず楽器製作の工程の一例として、当工房のはしっこが伝われば嬉しく思います。るんるん

タグ:工程
posted by しずく at 16:06| Comment(0) | otomo

2012年04月23日

otomoができるまで 8

そろそろお花見にでも繰り出そうか、というこの頃ですが、なにせ寒いのです。
もうちょっと暖かくなるまで咲いていてねと願いつつ、お花見のチャンスを窺っております。

さて、いよいよotomoの全てのパーツが揃い、完成まであと一歩です。

本体に針金で押さえ棒を取り付けます。
針金なんて聞くとちょっと工作的なイメージがありますが、そこのあなた!これがまた至難の技なのですよっ!
裏と表を編むように狭い空間に針金を通し、最後にキーを入れた時に全部の圧力とバランスが丁度良くなるように締め上げます。この作業は4種類のペンチを駆使し、がっちりと固定させるために針金を巻きつけていきます。
たかが針金ったってこれも工房主が試行錯誤を繰り返した後、太さ0.1ミリ単位で選んだもの。これを両手両足を使い組み上げていきますが、かなりの力と集中力を必要とする作業です。
実はこのキーを針金で留め付ける方法はムビラの伝統的な作り方でもあります。
もちろんムビラはotomoとは比べものにならないくらい全てが大きく太く重い。
アフリカではこちらの工房主とは比べものにならないくらい全てが大きく太く重い現地の職人さんが、全身で格闘さながらに締め上げてゆくそう。
繊細な工房主もスピリットだけはムビラリスペクト。
otomoura.jpg
これはotomoの裏の様子。

押さえ棒が付いたらその隙間にキーを圧入していきます。
kumitate.jpg
細いキーですが、これらを響き良くかつ抜けたりずれたりしないようにバランスを取るのは難しいのです。
9本のキーが入ったらチューニングをして、音程を整えます。

そしてついに・・・
otomo 完成です!!!ぴかぴか(新しい)
tometsuke.jpg
しかしながらすぐに出荷することはできません。
各パーツが馴染むまでチューニングや調整を続けながら様子を見ます。
その間otomoたちは新たな出会いに胸ときめかせながら、旅立ちの時を待つのです。

次回はいよいよ最終回。
タグ:工程
posted by しずく at 13:03| Comment(0) | otomo

2012年04月18日

otomoができるまで 7

10日前には緑色だった桜のつぼみがピンクに色づき、あちこちで開き始めています。
すっかり間が空いてしまいましたが、otomo製作工程はクライマックスのキーの作成に入ります。
楽器の肝(キモ)であり、カリンバ工房の最大の特徴がこの「キー」。
POLONをはじめ当工房製作のカリンバには全て鍛造(たんぞう)キーが使われています。

「鍛造とは、金属加工の塑性加工法の一種。金属をハンマー等で叩いて圧力を加える事で、金属内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高めると共に目的の形状に成形する。」(wikipediaより引用)

・・・要するにキーの素となるピアノ線をハンマーで叩くのです。
何故って、それは企業秘密(笑)。
だってピアノ線を切りっぱなしじゃ危ないし、そのままじゃ弾きにくいし。
叩いて成形することによって指当たりや弾いた時の感触を調整するのです。
そして何よりも、音色。鍛造することによって金属は複雑な倍音を持ち、カリンバ工房ならではの澄んだ独特の音色が生まれます。

そもそも工房主が本格的にキーを鍛造し始めたのは2003年に作った「ムビラ」がきっかけでした。
Mbira.jpg
ムビラもカリンバも現地アフリカでは聖なる楽器。その音は脳のプリミティヴな部分を呼び覚ますような魂に響く深い音色を持っています。
アフリカではムビラは代々作り手が演奏もするという形で引き継がれています。
工房主はそのムビラの音作りとスピリットに感銘を受け、尊敬と敬意の念を抱いていると言います。それ故当工房では「カリンバ」という形でピアノ線を使っているものの、たとえ細いキーであっても音作りに鍛造は欠かせない作業となっているのです。

カリンバの音程はキーの長さで決まるので、必要な長さで欲しい音程が出るように過去の膨大なデータから作ったリストに基づき、一本一本製作します。
keykoboushi.jpeg
(たまに迷い込む人も居るようです)

キーを叩く作業はまさに熟練の技。もともと丸いピアノ線をまっすぐ平らに加工するには鍛練と根気と体力が必要です。前回の「耳かき」とは違い、繊細な力加減とより高度な集中力が求められます。
適度に叩いたらねじれや曲りがないかチェックした後、ヤスリで成形します。

そして何よりも重要なのは音を作り出す耳。工房主の手と耳により一音一音の音色が調整されたキーは、最終の組み上げの時を待ちます。
keycheck.jpg
地味だが、ムビラリスペクト。
タグ:工程
posted by しずく at 12:11| Comment(0) | otomo